夫婦間の贈与税とは?贈与税が発生するケースとしないケースを解説

M-L-02

夫婦間であれば税金は発生しないと思われがちですが、夫婦間であっても法律上は財産を移転する際に贈与税が課せられる可能性が高い点に注意が必要です。

ただし、生活費のための贈与や適切な控除制度を活用することによって、贈与税を回避できる場合もあるでしょう。

 

 

この記事では、夫婦間の財産移動において贈与税が課せられるケースと課せられないケースについて町田·相模原地域を拠点とする司法書士が詳しく解説します。

監修:税理士 本間 康弘

この記事は3分で読めます

1.夫婦間の贈与税とは?

1181962

一般的な夫婦はお互いの収入を一緒に管理しているケースが多く、どちらの財産であるか普段考えないケースが多いのではないでしょうか。

また、共働きであれば協力して住宅ローンを組んだり生活費を出し合ったりするのが当然と考えてもおかしくありません。

しかし、夫婦間で財産を贈る場合は金額によっては贈与税が発生します。
贈与税とは、個人から贈与によって財産を取得した場合に必要な税金です。

贈与税は申告しようとしている年の1月1日から12月31日までに受けた総額を基にして、暦年課税の適用を受ける財産の合計が110万円を超える場合は贈与税の対象となります。

2.夫婦間で贈与税の対象となるケース

夫が妻に高額なアクセサリーや高級車、家などを贈与した場合、また妻が夫に預貯金や株式投資など高額な金銭を贈与した場合などのケースにおいて贈与税がかかると考えてください。

日常生活に必要でなく資産価値が高いとみなされるためです。

夫婦間で贈与税の対象となるのは、高額な金銭やものを贈った場合です。

アクセサリーや高級車をはじめとした高額なものや、預貯金をはじめとした金銭などを贈る場合が対象になる可能性が高いといっていいでしょう。中でも不動産購入時に発生する贈与税には注意が必要です。

例えば、夫婦が共同で不動産を購入する場合において、不動産の共有持分割合と資金の出資割合が一致しない場合は贈与税が発生する可能性があります。

3.夫婦間で贈与税の対象とならない場合

1181897

夫婦間で財産を贈与した場合であっても、すべてのケースで贈与税の対象となるわけではありません。

そのため、贈与税を免除するために必要な知識となりますので、把握するようにしてください。

 

財産の総額が年間で110万円以下の場合や、日常生活に必要であると判断されたら贈与税の対象外です。

さらに、配偶者控除が適用される場合もあります。

3-1.日常生活に必要であると判断された場合

夫婦間での日常生活費や学費、生活用の家具・家電、車の購入費用などの贈与には、贈与税はかかりません。

それぞれの費用は夫婦が生活をするために必要であるとみなされるため、贈与方税上、非課税とされるのです。
しかし、生活費を名目として高額な資金を移動させた場合は、社会通念上不相当と判断されて贈与税の対象となる可能性があります。

ただ、受け取った生活費を他の目的で使った場合は生活費として判断されない場合があるほか、収入のない妻が受け取った生活費を妻名義の口座でへそくりとして貯金している場合は納税対象です。

3-2.年間110万円までの基礎控除内の贈与

毎年1月1日から12月31日までの1年間で、贈与額が110万円を超えていなければ基礎控除が適用されるため贈与税はかかりません。

そのため、夫婦で何か高額なものをプレゼントしようとしている場合は年間で110万円を超えないようにしましょう。

3-3.配偶者控除(贈与税の特例)が適用されるケース

次の条件をいずれも満たした場合は、配偶者控除が適用になることから最高2,000万円まで贈与税が非課税になります。

  • ・婚姻期間が20年以上であること
    ・居住用不動産か、購入資金であること
    ・贈与を受けた翌年の3月15日までに、受贈者が対象となる不動産に居住したうえでその後も継続して住む見込みがあること
    ・これまで配偶者控除を適用していないこと

20年以上の婚姻期間がある夫婦間で、居住用不動産、もしくは居住用不動産取得を目的とした金銭が贈与された場合は、最高2,000万円まで配偶者控除の対象です。

さらに、配偶者控除の2,000万円に加えて基礎控除の110万円を加えて合計最大2,110万円まで贈与税の対象外となります。

しかし、不動産取得税や登録免許税は免税にならないので注意してください。

4.夫婦間の贈与税でよくある質問

M-01ここまで説明した以外に、よくいただく質問に対する回答を紹介するのでぜひ参考にしてください。

 

 

 

  • Q.夫婦間の贈与税の税率はどれくらい?
    Q.夫婦間の贈与税はいくらになる?計算する方法とは
    Q.贈与税に時効はあるの?
    Q.贈与されたお金を新NISA口座で運用したら贈与税はどうなる?
    Q.車を購入した場合の贈与税は?
    Q.生命保険はどうなる?

4-1.夫婦間の贈与税の税率はどれくらい?

夫婦間贈与の場合は、一般贈与財産用が該当します。
国税庁によると課税価格と税理率、控除額は次のようになっています。

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10

300万円以下

15%

10 万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円を超える

55%

400万円

 

参考:国税庁

祖父から子、父から子のような場合は上記の数値がやや異なるので注意してください。

4-2.夫婦間の贈与税はいくらになる?計算する方法とは

夫婦間贈与が対象となっている一般贈与財産用は、年間の贈与財産の合計から基礎控除額を引いて、上記の割合をかけたものです。

例えば、年間の贈与財産が600万円の場合は、600万円-110万円の490万円が基礎控除をしたあとの課税価格となります。

そのため、贈与税額は、490万円×30%-65万円といった計算式になるため82万円です。

4-3.贈与税に時効はあるの?

贈与税の時効は原則として6年、また故意に申告しなかったとみなされた場合は7年と設定されています。

税務署から通知されないため、申告漏れがあると無申告と判断されるので注意してください。

また、税務調査を行ったり所有権を移転したりする際に申告漏れは見つかりやすいので、時効はほとんど成立しないと考えてください。無申告の場合は重いペナルティとなる可能性があるので、正しく申告、また納税するようにしましょう。

4-4.贈与されたお金を新NISA口座で運用したら贈与税はどうなる?

配偶者から受け取ったお金で新NISA口座で運用する場合、110万円までであれば課税の対象とはなりません。

さらに、NISAは非課税枠の活用ができるため、長期的に資産形成をするにあたって効率的な投資戦略の1つとなります。

4-5.車を購入した場合の贈与税は?

配偶者に対して購入した車が110万円を超えていれば贈与税がかかることが一般的です。

しかし、車が生活に必要だと判断されれば贈与税の対象にはならない可能性があります。

4-6.生命保険はどうなる?

生命保険の受け取りについても贈与税の対象となる場合があります。

特に注意が必要なのは、保険料を支払っている人と受取人が違う場合には、納税対象となることが一般的です。

例えば、夫が保険料を支払っていて、被保険者が子供、受取人が妻である場合を考えてみましょう。

このケースで、被保険者である子どもがなくなって妻が保険金を受け取った場合には、夫から妻への贈与とみなされるため納税対象です。

この他にも、契約者の名前を変える場合にも納税の義務が発生する場合があります。

例えば、夫から妻に契約者を変更しその後、保険契約を解約した場合に返戻金を妻が受け取った場合は夫から妻への贈与とみなされる可能性がございます。

5.贈与税の活用で相続税対策を

夫婦間であっても基本的に贈与税の対象となります。

しかし、贈与税の特例や基礎控除などによって贈与税が非課税となる場合があります。

他にも節税方法があるため、詳しくは専門家に依頼することがおすすめです。
専門家であれば、個々の状況に合わせて適切なアドバイスをしてくれるでしょう。

町田・相模原の森川司法書士事務所では、税理士事務所と共同して、夫婦間の贈与税でお悩みの方にアドバイスをするほか手続きの代行をさせていただきます。
もし、お悩みの場合はぜひ一度ご相談ください。


この記事を監修した人
税理士 本間 康弘

・1971年3月15日生まれ
・福島大学大学院経済学研究科修了
・2004年税理士登録
・東京税理士会所属
資産税相談件数 1000件超

株式会社H&Tアカウンティングファーム、本間康弘税理士事務所の所長。

相続税申告のほか事業承継(M&A)に関する業務、税務や会計に関する業務、デジタル化支援などを行う。他にも経営相談・経営コンサルティングを手掛けている。

生存贈与の最新記事

相続・遺言無料相談受付中 0120-561-260 相続・遺言無料相談受付中 0120-561-260

新着情報・解決事例・お客様の声

PAGE TOP