4.遺言執行者の選任方法 | 【特集】改正相続法
本特集も、第4回となりましたが、今回のテーマは「遺言執行者の選任方法」です。
遺言執行者を選任するには、以下の3つの方法があります。
4-1.遺言書で指定する
1つは、遺言書で遺言執行者を指定する方法です。遺言者が自分で遺言執行を行ってほしい人を選び、遺言書内に書いておきます。相手方の承諾は不要ですし、未成年者や破産者でなければ誰を選任してもかまいません。相続人から遺言執行者を選ぶことも可能です。
4-2.遺言書で「遺言執行者を指定する人」を指定する
遺言書により「遺言執行者を指定する人」を選任する方法もあります。たとえば「妻が遺言執行者を指定する」などと定められます。
遺言執行者を指定するよう定められた人は、相続発生後に速やかに遺言執行者を選任し、相続人へ通知しなければなりません(民法1006条2項)。
4-3.相続発生後に家庭裁判所で選任する
遺言によって遺言執行者や遺言執行者を指定すべき人が定められていないケースもあるでしょう。この場合、相続発生後に利害関係者が家庭裁判所に申し立てて遺言執行者を選任してもらわなければなりません。
つまり家庭裁判所に「遺言執行者選任の申立て」を行い、家庭裁判所の「審判」によって適切な人を選んでもらわないといけないのです。手続きを行う利害関係人は、通常相続人や受遺者、債権者となります。
遺言書内に遺言執行者や遺言執行者の指定者を定めておかないと、相続人や受遺者へ余計な負担をかけてしまう結果になりかねません。遺言執行者は、できれば遺言書作成時に遺言書内で定めておくのが良いでしょう。
4-4.遺言執行者を指定する際の注意点
遺言書で遺言執行者を指定するときには、注意が必要です。それは「指定された人は、遺言執行者への就任を拒絶できる」ことです。「長男を遺言執行者とする」と指定していても、相続発生後に長男が拒否したら長男に遺言執行を任せられません。
遺言執行者を指定する人を定めるケースも同じです。「妻が遺言執行者を指定する」と定めていても、相続発生後に妻が「指定しません」と相続人に通知すれば妻は指定する必要がなくなります。これでは遺言執行者がいない状態となり、誰も遺言の内容を実現してくれないリスクが発生するでしょう。
遺言書で遺言執行者や遺言執行者の指定者を定めるときには、必ず相手の了承をとっておくようお勧めします。事前に「遺言執行をお願いします」と言って相手が了承していれば、相続開始後に拒否されて遺言が宙に浮いてしまう事態を防止できるでしょう。
親族に遺言執行者を依頼すると、どうしても拒否されたり親族トラブルの要因になってしまったりするリスクが懸念されます。
司法書士などの専門家に依頼しておけば拒否されるリスクがないので、活用してみてください。
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