4.パターン別 相続人の廃除が認められやすいケース | 【特集】相続人の排除
相続人には配偶者、子ども、養子などさまざまです。以下でパターン別に相続人廃除が認められやすい典型的なケースをご紹介します。
4-1.実子
- 子どもや親に酷い暴力を振るった
被相続人に対して暴力を振るい続けると廃除が認められやすくなります。暴力の程度、頻度、回数などを考慮して判断されます。 - 多額の借金を肩代わりさせた
高額な借金を肩代わりさせると廃除が認められやすくなります。借金の金額や借金をした経緯、被相続人の経済事情などが考慮されます。 - 親に暴言を吐き続けた
子どもが親に暴言を吐き続け、廃除される事例もあります。例を挙げると「早く死ね」などと言った場合です。 - 犯罪行為をして著しい迷惑をかけた
すべての犯罪ではありませんが、一定以上の重い犯罪行為をして刑事事件となり、親や子どもに著しい迷惑をかけたら廃除が認められる可能性があります。たとえば子どもが犯罪行為をすると、親が被害弁償のお金を出さざるを得なくなったり謝罪しなければならなくなったりする可能性もあります。犯罪の性質や内容、迷惑をかけた程度などを考慮して相続人廃除が認められるかどうか判断されます。 - 親の反対を無視して反社会的勢力と結婚した、駆け落ちした
親の反対を押しきって反社会的勢力と結婚、駆け落ちして音信不通になった場合などには廃除が認められやすいといえます。 - 介護をしなかった
被相続人が介護を必要としているにもかかわらず無視して放置すると、相続人廃除が認められやすい傾向があります。 - 親の会社を乗っ取った
子どもが親の会社を乗っ取った場合、廃除が認められるケースがあります。
4-2.養子
養子の場合、以下のような状況で相続人廃除が認められる可能性があります。
- 財産の使いこみ
養子が養親の財産を勝手に使い込むと、廃除が認められるケースがみられます。たとえば養親名義の不動産を無断で売却した場合などです。 - 扶養をしない
養子が養親の世話になっておきながら扶養をせずに放置すると、廃除が認められやすいといえます。たとえば家の贈与を受けたのに、養親の体調が悪化したときに放置するケースなどです。 - 養親子関係の実体がなくなっている
養子養親の場合、関係が希薄になってほとんど親子関係の実体が失われるケースが少なくありません。その場合、相続を認める必要性が低くなるので相続人廃除が認められやすくなります。
離縁と相続人廃除のどちらを選択するか
養親子の関係が悪化したときには、相続人の廃除をしなくても「離縁」すればお互いに相続権がなくなります。離縁とは、養親子関係を解消する手続きです。
養親子関係は、もともと他人同士だった親と子どもが「養子縁組」をして作り出した親子関係です。お互いに親子関係の継続を望まないなら「離縁」によって関係を解消できます。「離縁届」という書類を作成し、役所へ提出すれば離縁できるので、手続きは比較的簡単といえるでしょう。
一方、相続人廃除するには、家庭裁判所へ申立をして要件に該当する事実を立証し、審判によって廃除決定してもらわねばなりません。手続きの手間とハードルの高さを考えると、養親子関係が悪化したら、まずは「離縁」を目指すのが得策です。
相手がどうしても離縁に応じない場合、相続人の廃除を検討してみてください。
4-3.配偶者
夫や妻などの配偶者が相続人廃除される可能性もあります。典型的には以下のようなケースです。
- 暴力を振るい続けた
DV(家庭内暴力)で相手を傷つけ続けた場合、相続人として廃除される可能性が高くなります。 - 暴言を吐き続けた
相手を著しく侮辱し続けた場合、相続人廃除が認められる可能性が高くなります。 - 介護しなかった
配偶者の心身の状態が悪化して介護を必要としているのに放置した場合、相続人として廃除される可能性があります。 - 長期に及ぶ不倫関係
配偶者を遺棄して長期にわたって別の異性との不倫関係を続けた場合、相続人廃除される可能性が高まります。 - 家出、音信不通
家出をして長期にわたって音信不通となった場合、相続人廃除される可能性があります。 - 妊娠中絶の強制
夫が妻に妊娠中絶を強制すると相続人廃除が認められやすいといえます。 - 財産の使いこみ
配偶者の預金や個人的な資産を使い込んだら廃除される可能性があります。
離婚と相続人廃除
夫婦の場合、相続人廃除をしなくても「離婚」すれば相手への遺産相続を避けられます。
一般的に夫婦関係が悪化したときには、相続人廃除よりも離婚を進めるケースが多いでしょう。不倫や家出をされた場合、離婚すると慰謝料も請求可能です。
ただ相手がどうしても離婚に応じない、離婚訴訟まではしたくない、もしくは経済的な事情などで離婚できないケースも考えられます。そういった状況であれば、あえて離婚をせずに相続人廃除を選択するメリットもありえます。
離婚か相続人廃除かで迷ったときには、専門家へご相談ください。
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